分析化学
Print ISSN : 0525-1931
テクネチウムの共同沈澱とイオン交換吸着について
松浦 二郎小島 益生井口 昭
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1958 年 7 巻 12 号 p. 792-794

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抄録

テクネチウムの分析化学的行動の基礎資料として, 共同沈澱法 (以下共沈) とイオン交換樹脂によるイオン交換 (以下イオン交換) について報告する.共沈, イオン交換についての報告は二, 三あるが, 非常に少ない.われわれはいろいろなコレクターを使用して, 共沈や酸溶液中における陰イオン交換樹脂に対する分布係数Kdを測定し, 基礎的研究を行った.テクネチウムは米国製, カタログ番号99-Pで核分裂生成物より分離したもので, 過テクネチウム酸カリウム (KTcO4) 水溶液で, テクネチウムの濃度は2.33mc/ml, 半減期2.1×105yrより計算すると, mc当り約50mgであるので116mg/mlとなる.この研究においては1回の実験にこの原液を水で100倍に稀釈したものを0.1ml使用した.
試料溶液を蒸発乾固させるときは遊離の塩酸, 硝酸, 王水などがあるとテクネチウムが揮散するから, アンモニアで中和しアルカリ性としたのち蒸発乾固する.沈澱物を乾燥する場合はよく洗滌し, 遊離の酸を除いてからにする.放射能測定は, GMチューブは理研のGM-131 (2.7mg/cm2マイカ), 計数器は自作の理研型GM計数器 (64進法) を使用し, 距離1cmで測定した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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