1958 年 7 巻 8 号 p. 516-518
錯生成滴定の発達にともなって種々の金属指示薬が滴定に用いられるようになってきたが,一般に金属指示薬は滴定にともなう変色が不明りょうなために,肉眼的な観察によっては滴定終点の決定が非常にむずかしい.たとえば,著者は日常の業務において行う飲料水の総硬度,Ca2+の定量で,エリオクロムブラックT,ムレキサイドの変色による滴定終点の決定が肉眼的な観察では非常に困難なことを痛感している.
その観察を器機的に行うことができる光度滴定装置についてはベックマンB型分光光度計に滴定用附属装置をつけたもの1),コールマン14型分光光度計に滴定用附属装置をつけたもの2),柳本光度滴定装置,島津分光光度計に附属装置をつけたものなどがあるが,いずれも高価で入手することができなかったので,著者の研究室にあったデンシトメーターを改造して光度滴定装置を試作し,それらの滴定に使用し好成績をおさめているのでその概要を報告する.