抄録
フラボノールはウランと黄色の錯化合物をつくり,TBPによくとける.この錯化合物は400~415mμに平らな山をもった吸収帯をあたえる.これを用いてウランを定量する場合,水層のpHを6.0~7.0とし,有機層(TBP-ノルマルヘキサン1:1)中のフラボノールの濃度を8.4×10-4mol/l以上とすれば一定の吸光度が得られた.それゆえ定量はフラボノールを1.3×10-3mol/lとして行った.この条件で得られる検量線は410~450mμで少なくとも12γ/mlまではベールの法則にしたがい,分子吸光係数として28,700を得た.これはケルセチンスルホン酸法の約1.6倍,ジベンゾイルメタン法の約3倍である.定量の際は30%硝酸アンモニウムを含む溶液からTBP-ノルマルヘキサン(1:1)溶媒でウランを抽出分離したのち発色すればよい.