1959 年 8 巻 6 号 p. 353-356
弗化チタン酸と過酸化水素の混液にSb(V)を加えると,安定な弗化アンチモン酸の生成によってこれに対応するチタンイオンを遊離し,過酸化水素により過チタン酸の呈色を生ずる.呈色の強さはある濃度範囲においてSb(V)濃度に比例し直線性の検量線をあたえる.試薬にはモル比,Na2TiF6:NaF:H2O2=1:4:1,およびチタンについて0.1M濃度の2.5N HCl溶液を用い,反応液も2.5N HCl,溶液の場合がもっともよい結果を示す.呈色反応は常温かつきわめて短時間に完結し,呈色は安定であるから,この方法はあまり微量でないSb(V)の比色定量に適する.