2010 年 65 巻 10 号 p. 791-795
素粒子的宇宙物理学・宇宙論の研究分野は,今日その専門学術誌があるように,素粒子物理学と宇宙物理学・宇宙論の境界にある大きな分野である.林はビッグバン宇宙での元素合成や星の進化の研究を通じてこの分野を開拓・創始した.この解説では,林の自伝や基礎物理学研究会「学問の系譜-アインシュタインから湯川・朝永へ-」での講演,『日本の天文学の百年』のインタビュー,また林研究室を引き継いだ佐藤文隆の学会誌記事に基づき,これらの研究を振り返りたい.また,この分野の初期段階での展開を紹介したい.加えて私自身が受けた指導を受けながら進めた研究,林先生の思い出も記したい.