日本物理学会誌
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超イオン導電体 : 物質科学の交差点 (解説)
安仁屋 勝
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2011 年 66 巻 6 号 p. 414-422

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抄録

超イオン導電体は固体電解質とも呼ばれ,電気化学の分野では19世紀末から研究されてきた.また,最近ではリチウムイオン二次電池や燃料電池などに用いる材料として多くの注目を集めている.しかしながら,超イオン導電体の基礎物性が十分に理解されているとは言い難い.超イオン導電体の最大の特徴は融点より遥かに低い温度で,一部のイオンがあたかも液体中におけるイオンのように動き回ることにある.何故このような現象か起こりうるのか,どういった条件を満たす物質か超イオン導電性を示すのか.本解説の前半部では,超イオン導電体の初歩的な内容と代表的な物質系について概説した後,高いイオン導電性を生み出す原因を筆者か提案している超イオン導電体の結合揺らぎモデルの観点から考察する.後半部では,超イオン導電ガラスが示す物性の例,イオン導電体の応用例,イオン伝導と関連した現象の例をトピックス的に紹介する.

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© 2011 一般社団法人 日本物理学会
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