日本物理学会誌
Online ISSN : 2423-8872
Print ISSN : 0029-0181
ISSN-L : 0029-0181
フラストレート磁性体における多重Q秩序とスカーミオン格子状態(最近の研究から)
大久保 毅川村 光
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 67 巻 7 号 p. 500-504

詳細
抄録

相互作用に競合が存在するフラストレート磁性体では,しばしば,新奇な磁気構造が実現する.我々は,フラストレート系の典型例である三角格子上の古典ハイゼンベルグ反強磁性体の磁場中秩序化を理論的に解析し,次近接以降の相互作用が強い状況では,複数の波数秩序が共存する多重Q秩序状態が有限温度・有限磁場で安定化されることを明らかにした.特に,中程度の磁場で出現するtriple-q状態では,立体的な構造を持ったハイゼンベルグ・スピン系がスピン空間で織りなすトポロジカル励起である"スカーミオン"が三角格子を形成した"スカーミオン格子"が実現している.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top