日本物理学会誌
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時空の問題として見るプラズマ物理 : <渦>とは何かをめぐって(交流)
吉田 善章
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2013 年 68 巻 2 号 p. 74-81

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抄録

プラズマの運動や構造を理解するために大きな課題となっているのが<渦>である.プラズマとは,物体と場(通常のプラズマの場合は電磁場)が共変動する系のことである.物体と場の「圧縮運動」に関する研究(衝撃波やソリトンなど)は成熟の域に達しているといってよいだろう.しかし渦(回転運動やせん断運動)の問題は(プラズマならずとも中性流体においてすら)未だ極めて難しい.本稿では,プラズマの運動が生起する空間の幾何を渦論的に構築し,そのトポロジカルな性質,階層的な構造を解明する試みについて解説する.また具体的な事象として,宇宙論的種磁場の問題や,磁気圏プラズマの自己組織化を,渦=空間の歪みとして理解する最近の成果を紹介する.

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© 2013 一般社団法人 日本物理学会
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