日本物理学会誌
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パイライト型化合物の磁性
安達 健五
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1969 年 24 巻 8 号 p. 518-528

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抄録
パイライト型化合物は, 主に遷移金属とカルコゲン元素の間の一群の化合物である。これらの物質は興味深い磁気的・電気的性質をもっている。特にその磁性の観点から, 磁性原子の低およぴ高スピン状態, そしてそれらの間の磁気的相互作用などの問題がある。本解説においては, Co および Niを含むパイライト型化合物の磁性について詳しく述べる。特に局在スピン模型の立場からCo(SxSe1-x)2系の磁性に関する統計力学的解析とその実証について述べ, この系の中で見出された「新しい種類の磁性体」 : Exchange-compensated paramagnetism, についてふれる。またエネルギーバンドの立場からのこの方面の磁性と伝導についての研究についても述べ, いくつかの未解決な問題も提起する。
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