日本物理学会誌
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三,四個の核子からなる原子核
赤石 義紀
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1976 年 31 巻 10 号 p. 777-783

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抄録

現実的 (realistic) 核力を用いて原子核の実際の姿をとらえようという研究は, 3核子系から4核子系へとすすんできた. このことを可能にした方法は, 核子が核内で多重散乱を行っているという描像に基いた新変分法 (ATMS法) である. 核子3,4個からなる原子核では, 運動エネルギーとポテンシャル・エネルギーは 9割程度も打ち消し合い, 残りが結合エネルギーとなっている. 非中心力であるテンソル力の効果が非常に大きいことも明らかにされてきている. 3体核力は, 4核子系の結合エネルギの 1/3程度をになっていそうである. 2体核力と3体核力のもとで, 4核子系の全体 (基底・励起状態) をとらえきる可能性がでてきている.

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