日本物理学会誌
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固体内重イオン衝突とその固体物性研究への応用
伊藤 憲昭森田 健治松波 紀明
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1976 年 31 巻 9 号 p. 702-710

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抄録

核子あたり 10keV~10MeVの重イオンを固体に照射するとき生じる現象について述べる. 重イオンの原子番号が大きいことのため, 固体の外殻電子励起の密度が高く, また集団励起によって局部的に大きいポテンシャルが生じる. 一方入射重イオンも衝突を連続的に受けるため, 高い励起状態に励起される. これらの現象を通して得られる固体物性上または原子物理上興味ある知見についてのべる. さらに重イオンの固体中での飛程が小さいため, 表面近傍で選択的に衝突を起させることが出来, 表面構造, 表面電子状態, 吸着現象について有用な知見を得ることが出来る. 本稿では, 重イオンの衝突に関する素過程を述べ, 上記の応用についてこれまでなされて来た研究の概要を紹介する. 今後の発展の可能性についても述べる.

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