日本物理学会誌
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メカノケミカル系の生物物理的研究 : 筋肉とツリガネムシを中心として
浅井 博
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1979 年 34 巻 7 号 p. 562-569

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抄録

筋肉収縮は, 1940年代から, 多くの高分子物理化学者の興味をさそった問題であった. 基本的には, 高分子電解質やゴム弾性の考えが筋収縮の機構に当てはまると予想されたからである. しかし1964年にHuxleyらによって滑り説(sliding theory)の決定的証拠が提出されて, その考えは空しく潰いえてしまった. ところが原生動物の一種であるツリガネムシの茎の運動(後出の第6図参照)には, 高分子電解質ゴムの考えが有効に当てはまる可能性がのこされている. Caイオンの純物理化学的な吸着・離脱によって茎の収縮・伸長が起きることが, 最近はっきりしてきたからである.

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