日本物理学会誌
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二重ベータ崩壊とニュートリノ
江尻 宏泰岡田 憲志
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1987 年 42 巻 5 号 p. 453-462

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抄録

ニュートリノは謎の素粒子といわれている. ニュートリノはデイラック粒子かマジョラナ粒子か? 質量はあるのかないのか? 左巻らせん運動だけか右巻らせん運動もあるのか? ニュートリノ (レプトン) の関係するベータ崩壊でレプトン数は保存されるのか? これらの問題は素粒子と力の本質や宇宙の質量にかかわる重要問題である. 二重ベータ崩壊はこの様な基本的問題に対し最も感度のよい検証を与える. 最近の二重ベータ崩壊の実験でマジョラナ質量について1~5eV, 右巻相互作用項について10-5~10-6という極めて小さい上限値が与えられた. これらの二重ベータ崩壊の実験の現状と将来の展望について述べる.

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