日本物理学会誌
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銅原子を含む有機伝導体の謎
小林 速男
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1992 年 47 巻 11 号 p. 889-895

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抄録
分子性伝導体の特徴の一つは舞台設計をある程度自由に変えられる点にあると言えるであろう. 従来の有機分子性金属は皆, 構成分子のフロンティヤーπ電子軌道が形成する金属であったが, 本解説で取り上げているDCNQI-Cu化合物では有機分子DCNQIが配位しているCuの3d電子エネルギーレベルがDCNQIの2pπ金属バンドのフェルミ・レベル近傍に位置するため, pπ-d相互作用により金属の顔が一変し, 従来の分子金属には見られない磁性と伝導性に跨る興味深い物性が出現する. 重い電子系に類似した舞台が出来ている可能性すら考えられる.
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© 社団法人 日本物理学会
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