抄録
自然界や身近な現象に広く見られる粗いぎざぎざした表面(界面)は,異方的なフラクタルである自己アフィン図形として特徴づけられることが多い.本解説では,これらの界面が不可逆的に成長あるいは後退するダイナミックスを考察の対象とする.われわれが非線形非平衡現象の典型としてこのような現象に興味をもつのは,フラクタル科学の拡張であると同時に,現象が多彩でありながら普遍的な数理に貫かれていると期待されるからである.臨界現象の研究で誕生したスケーリングの概念を有効に活用しつつ,計算機シミュレーション・実験・理論が三者一体となって問題解決に向かっている.