日本物理学会誌
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よみがえる宇宙定数?
佐藤 勝彦
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1996 年 51 巻 5 号 p. 347-352

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抄録

最近のHubble定数の観測を信ずるならば宇宙の年齢は球状星団などの古い星より若いことになってしまう. この年齢の矛盾をもっとも簡単に解決する方法はEinsteinの導入した宇宙定数が適当な値をもつとすることである. 他にも宇宙定数が存在するとすれば都合の良い観測もある. 宇宙定数が存在するということは物理的には空っぽの空間がエネルギー密度をもつことである. 観測は真空のエネルギー密度が宇宙の臨界密度(宇宙膨張が永遠に続くか収縮に転じるかの境の密度)とほぼ等しいことを示唆している. なぜ真空のエネルギー密度がこのような値であるかは大きな謎である.

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