γ線で見る原子核内の中間子交換相互作用
1997 年 52 巻 2 号 p. 103-110
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1997 年 52 巻 2 号 p. 103-110
核子間には短距離でのみ強い力を及ぼす2体核力が作用する. 核子の集合体は, 核力により物質の基本的階層の一つである原子核を形成する. 原子核内の核子同士は仮想的状態にあるπ中間子を絶えず交換し, 核子は衝突を繰り返していると言える. これまで, 核内で中間子交換相互作用している核子対を直接観測して核子対の性質を決定した例はなかった. 荷電π中間子の交換もあるのだから, それに起因する電流が存在するはずである. 我々はこの核内電流と短波長の光(数百MeVγ線)の電磁相互作用を利用した新たな実験手法を開発し, 3He原子核内の陽子-中性子対及び陽子-陽子対を捉えた. 核子間に作用する核力は, γ線で"見える"のである.
