抄録
ブラックホールの半古典的な法則と熱力学の法則の間には, 密接な対応がある. たとえば, ブラックホールはエントロピーのように振舞う量を持つ. この関係が偶然ではないならば, この「エントロピー」は微視的状態の縮退度として導出できるはずである. 最近, D-braneと呼ばれる非摂動的物体(ソリトン)を使うことにより, 弦理論でこのエントロピーの微視的な解釈に成功した. エントロピーを数係数まで正しく微視的に導出できたのは, 史上初めてである. 特に, この結果はブラックホールに対しても, 通常の量子力学の法則が成り立っていることを示唆している.