日本物理学会誌
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プランク量子論100年
高田 誠二
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2000 年 55 巻 10 号 p. 751-755

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抄録

100年前,ベルリン大学の理論物理担当教授M. プランクは,数年来さまよってきた熱放射理論の迷路の中に活路を切り開き,エネルギー要素の考えを提起して量子論の端緒を開いた.当時の彼は,熱力学の二つの基本法則と,電磁波の理論(マクスウェル)と実験(ヘルツ)を深く信頼し,それらを土台にして熱放射分光分布式を導くことができると暗に期待していたのだが,新興の国立物理工学研究所での実験の進展が,彼の構想力を強く刺激した.この実験は産業上の要請で開始された.一方,エネルギー離散性の着想はエントロピー概念へのプランクの執心から生まれた.それらの相関を科学史の目で整理し直して述べる.

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