日本物理学会誌
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原子気体のボース・アインシュタイン凝縮 : 実験の進展
久我 隆弘
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2000 年 55 巻 2 号 p. 90-98

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抄録
約70年前にボースらが提唱した相互作用をしないボース気体の凝縮(BEC)は,通常は粒子とみなされる原子が示す波動性に由来している点で量子論の根幹を形成する現象である.BECは凝縮系では観測されていたが,95年に実現した原子気体BECは原子間相互作用の弱い極限での凝縮であるため,それまでのBECとは質的にも異なり,量子統計性が顕著に現れ,物理現象の本質に迫ることができる.現在では20カ所ほどの機関で原子気体BECは実現されており,原子波レーザーから四波混合など,光の世界でレーザー開発以来発展してきた研究の原子波版がここ4年間に一気に進められている.本稿では原子気体BECの実現法,観測法から応用までを簡単に解説する.
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