日本物理学会誌
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複雑系としての生命システムの論理を求めて
金子 邦彦
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2000 年 55 巻 7 号 p. 508-518

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抄録

生命システムを内部のダイナミクスと相互作用が拮抗する増殖系の示す普遍的現象として捉え,発生過程,進化を議論する.理想化した細胞系として,内部での化学反応,細胞間相互作用,そして分裂からなる力学系を考える.その系の普遍的な性質として,多様な細胞のもととなる「幹細胞」から決まったタイプしか作れない細胞へと至る細胞分化過程が現れる.この結果を踏まえ,発生過程の安定性と不可逆性を熱力学と対比して議論する.ついで,この力学系的分化の考えを進化に適用し,相互作用による表現型の分化が遺伝型へ固定されるという,種分化の考えを提示する.最後に,このような複雑系生命科学の立場での細胞生物学の実験について触れる.

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