2000 年 55 巻 8 号 p. 587-593
「ゲノム」,「遺伝子」という言葉が,日常生活でもしばしば使われる時代に我々は生きている.バクテリアの全ゲノム構造が初めて解明されてからわずか5年のうちに,我々は自らのゲノム構造のあらましを知ることができる地平にまで到達してしまったのである.この結果として,どのような情報が我々にもたらされようとしているのかを,物理学を研究されている方々にご紹介したい.そして,その情報が生命の物理的理解とどのようにかかわりをもっのか,どのようなパラダイムシフトを産み出そうとしているのかにっいて,現在の研究現場の状況を説明したい.