2002 年 57 巻 8 号 p. 575-580
電荷移動錯体λ- (BEDT-TSF)2FeCl4の準2次元π電子系は, 低温約8Kで常磁性金属から反強磁性絶縁体に相転移する. この転移温度以上では, 直流電気抵抗で観る限り伝導度の高い金属状態にある. しかし, この状態にマイクロ波帯の高周波電場を印加すると, 複素伝導率の実部 (伝導率) と虚部 (誘電率) に異常が出現するのである. 2次元金属状態に一体何が起こっているのであろうか? 伝導性, 磁性, 誘電性という物質の基本的な3つの電子機能が密接に絡んだ現象をここに紹介する.