2019 年 39 巻 1 号 p. 47-55
ヘンリー・ジェイズムはいわゆる「信頼できない語り手」を活用した作家として知られるが、情報をかなり的確に伝える信頼できる語り手も様々な作品の中で重要な役割を果たしている。ジェイムズは「国際テーマ」と呼ばれる異国間の関係を描いた作品を多く残し、特にこのような作品に登場する信頼できる語り手はジェイムズの現代性を考察する際には十分な存在価値を持つ。本論では、ジェイムズ初期の作品である『デイジー・ミラー』(Daisy Miller, 1879)やその発展編とも言える晩年の『鳩の翼』(The Wings of the Dove, 1904)を取り上げながら、ジェイムズが作品で効果的に使う語りの方法に注目し、作家の語りの現代性を分析する。