抄録
いや地現象の発生を明らかにするため,「幸水」を抜根した跡地と新土を客土した試験区に「幸水」又は「あきづき」1年生苗木を前作樹主幹位置から等間隔に定植し,生育と土壌理化学性の関係を調査した.1. 両品種ともに,前作樹の跡地に定植した苗木の生体重は同一圃場内の新土区に比べ劣り,生育が抑制された.2. 前作樹の跡地に定植した苗木の地上部生体重は,「幸水」では2.0~2.4kg/樹で植付距離による有意な差は見られなかったが,「あきづき」では1.1~3.0kg/樹で植付距離が近くなるほど生体重が有意に軽かった.3. 土壌の化学性及び硬度は,生育の差が顕著に見られた「あきづき」を植栽した連作土区において,植付距離による違いが見られなかった. 4. 「幸水」を抜根した跡地においてダゾメットによる土壌消毒を行い「幸水」の苗木を定植しても,地上部生体重は2.7kgで,新植圃場の無処理区の4.3kgに比べ軽かった.ダゾメットの効果は認められなかったことから,いや地現象の発生には土壌病害虫の関与は小さいと考えられた.5. 以上のことから,ニホンナシの栽培跡地ではいや地現象が発生することが明らかになった.また,その発生程度は,品種間で差があることが示唆された.