抄録
硝酸態窒素が残存する深さを変えて緑肥作物の栽培試験を実施し,残存窒素の吸収特性を明らかにするとともに,土壌中硝酸態窒素量から硝酸態窒素の溶脱抑制量の評価を試みた.1.10a当たり窒素吸収量は,夏作のソルガム,ギニアグラス,冬作のエンバク及びイタリアンライグラスがそれぞれ18.8~20.4kg,5.6~16.0kg,16.9~18.7kg及び11.3~13.9kgであった.イタリアンライグラスを除き,いずれの緑肥作物も硝酸態窒素が深さ10~20cm付近の表層に残存する条件では,施肥窒素量と同等あるいはそれ以上の窒素を吸収した.2.深さ80cm及び60cmまでの下層に硝酸態窒素が残存する条件での10a当たり窒素吸収量は,ソルガム,エンバクがそれぞれ19.8kg,18.7kgであり,ギニアグラスやイタリアンライグラスに比べて多かった.3.土壌中硝酸態窒素量から10a当たり硝酸態窒素の溶脱抑制効果を評価した.深さ20cmまでに硝酸態窒素が残存する場合,夏作のソルガム及びギニアグラス,冬作のエンバク及びイタリアンライグラスは,それぞれ最大で17kg/10a,12kg/10a,18kg/10a及び12kg/10a程度の硝酸態窒素溶脱抑制効果が期待できた.また,夏作のソルガム及び冬作のエンバクは,それぞれ80cm及び60cmとより深くに硝酸態窒素が多く残存する場合でも,それぞれ最大で17kg/10a及び16kg/10a程度の溶脱抑制効果が期待できた.