抄録
千葉県内のファレノプシス切り花生産農家の温室で,原因不明の落花・落蕾が発生した.ファレノプシスの落花・落蕾を起こすとされるオンシツケナガコナダニは花器内に観察されなかったことから,ファレノプシスの落花・落蕾に及ぼすエチレンの影響,エチレン指標作物であるゴマを用いて現地温室内でのエチレンの有無を調べた.その結果,1. ファレノプシスは,エチレンガス1ppmで花弁の萎凋と落蕾,5ppmで花弁の萎凋,落花・落蕾症状を起こし,その症状は現地の症状と酷似していた.2. 落花・落蕾が発生した現地温室内ではエチレンガスの存在を示すゴマの葉の上偏成長が観察された.3. 落花・落蕾が発生した現地温室に隣接する加温用ボイラーは不完全燃焼を起こしていたことから,排煙に含まれるエチレンが一時的に温室内に流入し,ファレノプシスの落花・落蕾を発生させたと判断した.