千葉県農林総合研究センター特別報告
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ニホンナシの改植および定植後の管理方法の改善に関する研究 ~いや地現象の発生とその軽減および生育促進を中心に~
戸谷 智明
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2018 年 2018 巻 8 号 p. 57-102

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抄録
千葉県は全国一のニホンナシの生産県であるが, 樹の老木化に伴い生産力の低下が著しく, 幼木への改植が重要な課題になっている. しかし, 改植した幼木は生育が不良になることが多いため, これらの問題を解決して産地の生産力を維持強化する必要がある. 生育不良の要因の一つとして, いや地現象の発生が指摘されてきたが, 後作の苗木でどの程度いや地現象が発生するのか, その原因について実験的に明らかにした報告はない. そこで, 本研究では, いや地現象の発生を明らかにするため, 「幸水」を抜根した跡地に「幸水」または「あきづき」の1年生苗木を前作樹主幹位置から等間隔に定植し, 生育を調査した. その結果, 地上部生体重は新土区に比べ「幸水」が53~64%, 「あきづき」が25~68%となり, 特に「あきづき」では前作樹主幹位置に近いほど生育が抑制された. 生育の差が顕著に見られた「あきづき」の跡地土壌を分析した結果, 土壌の化学性および硬度には違いがなかった. また, ダゾメットによる土壌消毒でも効果が認められなかったことから, いや地現象の発生には土壌病害虫の関与は小さいと考えられた. 以上のことから, ニホンナシの栽培跡地ではいや地現象が発生することが明らかになり, その発生程度は品種間で差があることが示唆された. 次に, 「幸水」を抜根した跡地の土壌(連作土)をポットに充填し,「幸水」, 「豊水」, 「新高」および「あきづき」の1年生苗木を定植して, いや地現象発生の品種間差を明らかにした. その結果, 「あきづき」の連作土区では, 新土区と比べ, 新梢生育や生体重が有意に抑制された. 「幸水」などでは, いや地現象による生育抑制が部分的に確認されたが, 「あきづき」 に比べるといや地現象による影響が少ないと考えられた. 以上のことから, ニホンナシにおけるいや地現象の発生には品種間差があることが明らかとなり, 「あきづき」では他の品種と比べて生育抑制が顕著であった. いや地現象の軽減を図るため, 改植時に客土,活性炭および活性炭フロアブル剤を施用して, その効果を検討した. その結果, 客土区における幼木の生育は, 定植1,2年目の新梢伸長量が無処理区に比べて有意に大きくなり, 2年目の生体重が無処理区の1.7倍となった. さらに, 客土に加えて幼木の株元をマルチ処理することによって, 定植1,2年目ともに新梢生育が客土単独よりも増大した. これらのことから, 客土はいや地現象の軽減に効果があることが明らかになり, マルチ処理を併用することで幼木の生育がより促進された.
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© 2018 千葉県農林総合研究センター
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