2019 年 56 巻 2 号 p. 156-162
模擬店での食品提供は,食品衛生法や臨時営業に関する条例や要綱,届出制度に従うものである。大学生がこれらの制度をどの程度認識しているかを調査した。保健福祉学部 2年生198名を対象とし,無記名アンケートを実施した。171名(86.4%)から回答が得られた。食品衛生管理のための行政等の定めや届出の必要性は約90%が認識していた。大学祭や模擬店への参加予定は社会保育学科の学生で多かった。また,大学祭や模擬店の参加予定の学生ほど,模擬店での衛生管理について先輩から話を聞いたことがあると回答した。 15種類の食品を挙げ,模擬店での提供適否を尋ねた結果,加熱する食品は70%以上の学生が「適当だと思う」,「たぶん適当だと思う」と回答した。一方で,前日から煮込んだスープカレーを「適当だと思う」,「たぶん適当だと思う」と約20%の学生が回答した。具体的な提供食品の適否については必ずしも適切な判断ができているとはいえなかった。今後は,食品の取扱いなど調理に関わる衛生管理の知識や実践についての調査および教育も必要である。