CAMPUS HEALTH
Online ISSN : 2432-9479
Print ISSN : 1341-4313
ISSN-L : 1341-4313
原著論文
大学生のメンタルヘルス状況と身近な相談環境に関する調査より
田中 生雅荒武 幸代田中 優司
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 57 巻 2 号 p. 142-147

詳細
抄録
学生のメンタルヘルス状況と身近な相談環境を把握する為,アンケート調査を行い検討した。
【対象と方法】2019年度愛知教育大学学生定期健康診断に参加した2~4年次学生,大学院生3067名のうち,調査の主旨について同意の得られた者を対象とし,Ⅰ抑うつ不安尺度調査(K-6),Ⅱ‐1ストレスの有無,2 治療状況,3身近な相談環境や自殺等深刻な悩みの相談状況,4健康セミナーの希望,5相談中の対応についての相談希望,の調査を行った。学生(1727名,男性654名,女性1073名,有効回答率56.3%)の結果を示す。
【結果】質問ⅠK6の平均値は9.1±3.9点であり,Ⅱ‐1「学生生活のストレスのため体の不調や生活への影響がある」とした学生は64名(3.7%)であった。K6の得点群別の検討で高得点の群でストレスが強い者が多かった。Ⅱ‐3相談環境について,「死にたい等特別な悩み」については相談場所が「無」が318名(18.7%)と特別な悩みを相談できない者の数が少なからずみられた。
【考察&結論】学生は身近の環境で,「死にたい等特別な悩み」では約2割の学生が相談できず,実際の相談状況については,回答した学生の内「深刻な相談を受けたことがない」とする者は約9割にのぼり,学生が生活の中で他者と関わりながら悩みを解決する環境は整っていないことが示された。相談対応技法等のメンタルヘルス教育を益々進め,学内の相談窓口を適切に機能していくことが重要な課題であると考えられた。
著者関連情報
© 2020 全国大学保健管理協会
前の記事 次の記事
feedback
Top