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原著論文
大学保健センターで実施してきたダニ媒介性脳炎ワクチン接種の安全性についての報告
川原 由佳子折戸 智恵子好井 健太朗橋野 聡
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 57 巻 2 号 p. 95-100

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抄録

ダニ媒介性脳炎(TBE)ワクチンは不活化ワクチンで,現在国内未承認ワクチンである。北海道大学保健センターでは,かねてから学生・教職員に対して安全に配慮しながら本予防接種を実施してきた。この輸入ワクチンFSME-IMMUN Erwachseneは,輸入代行会社(IMMC)を通じて入手し,補償制度が受けられる制度がある。今回TBEワクチン接種を受けた教職員18名,大学生55名の計73名を対象とし,実施時に使用した診療録や問診表などの記録から,対象者の副反応状況を後方視的に調査した。現在までに接種後の頭痛,倦怠感,注射部位の痛み,腫れ,発赤等の訴えはあったものの,治療が必要となる重大な副反応はなく,また迷走神経反射出現による事故もなく,安全な実施に至っている。この副反応の頻度が低かった理由としては,事前の問診や医師の診察により体調を把握し,ワクチン接種について十分説明を行ってから実施したこと,また接種後の経過観察を慎重に行ってきたことも,安全の担保につながったと考える。フィールドワークを行う教職員からの問い合わせ等ワクチン接種を希望する人は増加傾向であり,今後も要請に応じて更に安全に実施していくとともに,マダニ刺咬症予防対策についても啓発していく必要がある。

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© 2020 全国大学保健管理協会
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