Print ISSN : 0016-450X
肝癌生成過程における肝比重(豫報)
森 和雄百木 せい子
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1950 年 41 巻 1 号 p. 57-60

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抄録

木下法に從い,Butter Yellow添加白米で白鼠を飼養し,肝癌生成の實驗過程に於ける肝の比重の變化を追究した。
比重の測定には,近年血清蛋白を測る方法として用いられている硫酸銅法(吉川による)を應用した。即ち,血清の場合よりは濃度の高い溶液を連續的に調製し,夫々の比重は比重計を用いて決定した。
對照として測定した正常雌鼠の肝の平均比重は1.077であつたに反し,實驗經過に應じて分けられた肝所見即ち肉眼的正常,表面不平滑,肝硬變並に肝癌の4期に於ける肝比重は夫々1.071,1.070,1.067並に1.059であつた。
即ち,肝癌生成過程に於ける肝比重は日を追うて下降している。中原並に福岡によれば,肝癌生成過程に應じて肝カタラーゼが減弱して行く事が明かにされているが,肝比重も同樣の傾向を示す事は注目に値すると思う。

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