Print ISSN : 0016-450X
核酸をふくまないトキソホルモンの精製
小野 哲生杉村 隆梅田 真男
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1955 年 46 巻 4 号 p. 617-630

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抄録

腫瘍のアセトン乾燥粉末を氷醋-メタノール (2:3) で加熱抽出し, トキソホルモン作用を呈する一分劃を得て O-Fraction と仮称した。ローダミン肉腫 (梅田) よりのものは, 20mgで, 移植肝癌 (ラッテ), NF肉腫よりのものは40mgでマウスの肝カタラーゼを低下せしめ, さらに注射24時間後で胸線を著明に萎縮せしめた。
ローダミン肉腫よりの一標本をアルコール分劃し4つの分劃を得た。各分劃はいずれも胸腺萎縮作用を示したが, 肝カタラーゼ低下作用は第3の分劃にのみ認められ10mgで有効であった。
以上各腫瘍よりの O-Fraction は燐酸定量及び紫外部吸収試験で核酸をふくまないことが確認されたので, 同じ抽出法を粗製トキソホルモン (アルコール沈澱の段階) に応用して同様に核酸を含まない10mgで有効な分劃を得た。このものは胸腺には注射24時間後では影響を示さなかった。

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