Print ISSN : 0016-450X
4-Nitroquinoline-N-oxide の癌原性
中原 和郎福岡 文子杉村 隆
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1957 年 48 巻 2 号 p. 129-137_3

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抄録

現在続行中のキノリン誘導体の癌原性に関するわれわれの研究のうち, 4-nitroquinoline-N-oxide が極めて強力な発癌性を有するという事実を報告した。マウスの皮膚に0.25%ベンゼン溶液として1週3回塗布すると80-140日で全例にパピロマを発生し, 120-200日で悪性化する。できた腫瘍は普通の扁平上皮癌の外に相当数の線維肉腫を含んでいる。何れも悪性腫瘍に特徴的な解糖作用を示す。転移は2例に証明された。移植は表在性腫瘍であるため非常に困難であるが, 試みた3例中1例において成功した。
4-Nitroquinoline-N-oxide の発癌力は最強力な多核炭化水素のそれに接近している。キノリンの如き比較的簡単な二核化合物中にこのような強力な癌厚性物質があることは予期されなかったところである。

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