Print ISSN : 0016-450X
バターエロー投与シロネズミの肝酵素の濾紙電気泳動的研究
第3報 リボ核酸脱アミノ酵素
佐藤 永雄
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1958 年 49 巻 4 号 p. 295-300

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抄録

バターエロー (DAB) 投与ネズミの肝癌生成過程において予想し得る肝酵素の性格上の相違を追究することを目的とした。対象とした酵素は当研究室でかつて調べたリボ核酸 (RNA) 脱アミノ酵素である。しかし従来の単なる活性度の定量でなく, 性格を調べるため滬紙電気泳動法を用いた。
肝性組織のホモジェネートあるいはその上清, 沈澱を滬紙上に電気泳動し, 泳動後滬紙を多数の小片に切りそれぞれを酵素源とした。
活性度の測定にはコーンウェイ装置を使用し, 基質RNAと緩衝剤 (酸性側およびアルカリ性側) の混合液から上記滬紙片によって一定時間保温, 産生されたアンモニアを装置の硫酸部に捕捉しネスレル化して比色定量した。グラフの縦軸にアンモニア量を, 横軸に酵素の泳動距離を目盛ってRNA脱アミノ酵素 (酸性側およびアルカリ性側) のパターンを作成して論じた。
肝性組織 (正常肝, 硬変肝, 肝癌, DAB投与4週動物の肝) のホモジェネートは総て共通のパターンで台地形曲線を示した。すなわちいづれも展開された蛋白部全般に亘ってほぼ同程度の活性度であった。ただ原点に山形曲線が現われた。
ホモジェネートの上清および沈澱のそれぞれのパターンはホモジェネートそのままが示したパターンの各一部づつを現わした。すなわち上清は易泳動部を沈澱は難泳動部 (原点およびその隣接部) を示した。

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