本研究は、日本国内の大学のスペイン語専攻の3年次B1・B2(中級)レベルを対象に、2019年度「スペイン語講読演習科目」のプログラム改革を評価する目的で実施されたものである。本研究では、講読を社会的活動として捉えており、テクストを処理することを目的としたアプローチではない。ここでの講読は参加型であり、学習者の学習履歴によって調整されるものであった。被験者を2つのグループを分け、1つのグループには31名が参加し、もう1つのグループには24名が参加した。まずグラウンデッド理論に基づいてアンケート回答のデーターをコード化し、学習者の3つの講読試験回答のディスコース生産を縦断的に分析した。結論として、内発的モティベーション(世界の理解に関心)を持つ学習者は、外発的モチベーション(言語理解、単語習得、職に就くことに関心)を持つ学習者より、より良いレベルに発展し、成績も向上した。さらに、この授業改善によって、大多数の学習者の講読力が向上した。また、その成長が成績に反映されなかった学習者に至っても、講読力の向上が明らかとなった。従って、今後はダイナミック・アセスメント法を活用することを推奨する。最後に、アイデンティティーの変容に関連付けた内発的モチベーションの変化に対応することによって、今回の授業改革が効果的であり、その目的を達成することができたと結論付けるに至った。