日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌
Online ISSN : 2189-9568
Print ISSN : 1344-9109
大学の第二言語としてのスペイン語学習者の講読と学習経緯について
Arturo Escandón GodoyLorena Rojas Espinoza
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2021 年 32 巻 p. 5-30

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抄録

本研究は、日本国内の大学のスペイン語専攻の3年次B1・B2(中級)レベルを対象に、2019年度「スペイン語講読演習科目」のプログラム改革を評価する目的で実施されたものである。本研究では、講読を社会的活動として捉えており、テクストを処理することを目的としたアプローチではない。ここでの講読は参加型であり、学習者の学習履歴によって調整されるものであった。被験者を2つのグループを分け、1つのグループには31名が参加し、もう1つのグループには24名が参加した。まずグラウンデッド理論に基づいてアンケート回答のデーターをコード化し、学習者の3つの講読試験回答のディスコース生産を縦断的に分析した。結論として、内発的モティベーション(世界の理解に関心)を持つ学習者は、外発的モチベーション(言語理解、単語習得、職に就くことに関心)を持つ学習者より、より良いレベルに発展し、成績も向上した。さらに、この授業改善によって、大多数の学習者の講読力が向上した。また、その成長が成績に反映されなかった学習者に至っても、講読力の向上が明らかとなった。従って、今後はダイナミック・アセスメント法を活用することを推奨する。最後に、アイデンティティーの変容に関連付けた内発的モチベーションの変化に対応することによって、今回の授業改革が効果的であり、その目的を達成することができたと結論付けるに至った。

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© 2021 日本・スペイン・ラテンアメリカ学会

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