2015 年 26 巻 2 号 p. 151-154
要旨 移植されたヒト神経幹細胞がホストの内在性修復機構を促進するという仮説を基に機能回復の内在性修復メカニズムを検証した.ヌードラットに中大脳動脈脳皮質梗塞モデルを作成し,1 週間後にヒト神経幹細胞を同側皮質に定位移植した.機能回復は移植4 週間後でみられ,脳梗塞後のangiogenesis,axonal sprouting,dendritic branching については,移植細胞により修飾亢進された.高解像度イメージングを駆使したarray tomography を用いて シナプスの定量化を行い,移植4 週間後に細胞移植群で皮質第5 層に興奮性シナプスが増加した.神経幹細胞移植に伴うシナプスの変化をin vivo で捉え,synaptogenesis が機能回復に一致して起こることが明らかとなった.