2001 年 1 巻 2 号 p. 94-102
いくつかのピリジルピロール化合物に強力なp38 MAP kinase阻害活性がみられた。その活性は、中心骨格はイミダゾール環と異なるものの類似の全体構造を有する既知化合物SB203580よりもかなり強力であった。そこで、ピリジルピロール化合物とSB203580のkinaseとの相互作用に関して知見を得るために複合体モデリングを実施した。イミダゾール環とピロール環の骨格による結合様式に違いはみられず、それら環上の同様の置換基(ピリジル・フェニル基)の特徴的な相互作用は共通であった。一方、末端に官能基を有するアルキルスルホキシ基については、それらと相互作用するkinaseのアミノ酸残基を特定した。さらに、Ludiプログラムを用いたscore値の計算により阻害剤と酵素との結合の強さを見積ったところ、阻害活性値とscore値との間に良い相関がみられた。