Chem-Bio Informatics Journal
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1 巻, 2 号
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  • 小谷野 和郎, 中野 達也, 神沼 二真
    原稿種別:  
    専門分野: 分子計算
    2001 年 1 巻 2 号 p. 60-72
    発行日: 2001年
    公開日: 2001/09/28
    ジャーナル フリー
    ダイオキシン類が結合する芳香族炭化水素レセプター(AhR)に関してはその作用、アミノ酸配列の解明等が進んでいるが、X線結晶解析等の3次元構造の解析はまだ成されていない。そこで毒性等価指数(WHO-TEF)が与えられているダイオキシン類のPCDD系列4個,PCDF系列6個,PCB系列8個計18個の化合物についてab initio 分子軌道法ソフトGaussian 98でHF/6-31G*レベルで構造最適化を行うと共にその静電ポテンシャル図を求めた。静電ポテンシャル図はいずれも酸素と塩素の辺りが負で、炭素と水素の辺りは正で構成原子に関して加成的であってCoMFAの成立が予期された。それで毒性値としてAhR結合能 (RBA)、ラット肝サイトソルのEC50, Mの -logEC50で立体場及び静電場による比較分子場解析CoMFAを行った。原子電荷としては静電ポテンシャル誘導電荷のCHelpGを使用した。1,2,3,7,8-PeCDDを基準としてそれに他の化合物を置換塩素まで含めた各原子対で重ねる。PCDFはPCDDと平面的に重なるが、PCBはビフェニル環が互いに捩れているのでPCDDの片側から他方へ貫通する。すべてを重ね合わせてから成分数3で部分最小二乗法PLSを行い最終モデルの交差確認相関係数 q²=0.955 と高い値を得た。立体場と静電場の寄与の割合は51%対49%でほぼ等しい。この相関から外挿と内挿による予測を行った。結合能の高い2,3,7,8-TBrDD、2,3-diBr-7,8-diCDD等の臭素誘導体の外挿では実測値よりも低いが、1,3,7,8-TCDD、1,2,4,7,8-PeCDD等の内挿では逆に高いが実測値に大体近い。
  • 荻島 創一, 任 鳳蓉, 田中 博
    原稿種別:  
    専門分野: 分子計算
    2001 年 1 巻 2 号 p. 73-83
    発行日: 2001年
    公開日: 2001/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究で、我々は宿主(患者)内ウィルス進化を説明する新しい方法を提案する。本法は、経時的に連続サンプリングしたウィルスが示す多様な変異種から、これらの変異種の時間発展的な系統関係を明らかにする。また、中立進化だけでなくダーウィン進化も取り扱えるYangのコドン準拠法に基づき、ウィルス進化の時間発展の過程において、いつ、どのように正の淘汰進化と中立進化が起きているかを解析可能とした。我々はこれまでの研究で、最尤法に基づいた逐次リンクアルゴリズムにより予備的な解析を行ってきたが、尤度の計算量が膨大であり、また変異種の増加により指数的に考えうる系統関係が増加するという困難があった。本研究では、近隣結合法を利用した遺伝距離準拠型逐次リンクアルゴリズムを開発して、これらの困難を解決した。我々はこの方法をHIV-1ウィルスに感染したある1人の患者のHIV-1ウィルスのV3領域の経年サンプリングのゲノムデータに適用した。その結果、このアルゴリズムは宿主内ウィルス進化を説明する経時的な系統樹を再構成できた。
  • 多田 幸雄, 山脇 一郎, 上田 修一, 松本 宏, 松浦 直資, 安本 三治, 江田 昭英, 堀 幹夫
    原稿種別:  
    専門分野: 分子計算
    2001 年 1 巻 2 号 p. 84-93
    発行日: 2001年
    公開日: 2001/09/28
    ジャーナル フリー
    スルホニウム化合物の物理化学的性質とその生物活性との相関を明らかにする目的で、スルホニウム化合物に特徴的な性質である H-D 交換およびメチル基転移反応速度を調べた。その結果H-D 交換およびメチル基の転移反応速度と急性毒性(LD50)の間に良好な相関があった。医薬品の開発において毒性をコントロールすることは非常に重要なことである。メチル基の高い反応性は急性毒性の面から望ましくない、従ってこれらスルホニウム化合物において、硫黄原子の置換基として不飽和炭素を持たない化合物が毒性軽減の面から望ましかった。さらに、OH 基もしくは COOH 基は大幅に毒性を軽減した。これらの毒性軽減に関する情報は抗アレルギー薬である Suplatast Tosilate の分子設計に用いられた。
  • 岩田 依子, 中尾 彰, 明松 隆志, 下里 隆一, 宮本 秀一
    原稿種別:  
    専門分野: 分子計算
    2001 年 1 巻 2 号 p. 94-102
    発行日: 2001年
    公開日: 2001/09/28
    ジャーナル フリー
    いくつかのピリジルピロール化合物に強力なp38 MAP kinase阻害活性がみられた。その活性は、中心骨格はイミダゾール環と異なるものの類似の全体構造を有する既知化合物SB203580よりもかなり強力であった。そこで、ピリジルピロール化合物とSB203580のkinaseとの相互作用に関して知見を得るために複合体モデリングを実施した。イミダゾール環とピロール環の骨格による結合様式に違いはみられず、それら環上の同様の置換基(ピリジル・フェニル基)の特徴的な相互作用は共通であった。一方、末端に官能基を有するアルキルスルホキシ基については、それらと相互作用するkinaseのアミノ酸残基を特定した。さらに、Ludiプログラムを用いたscore値の計算により阻害剤と酵素との結合の強さを見積ったところ、阻害活性値とscore値との間に良い相関がみられた。
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