Chem-Bio Informatics Journal
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薬物代謝物(A→B→C・・・・)の組織濃度推移予測プログラムの開発
深野 駿一
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2001 年 1 巻 4 号 p. 124-135

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抄録

環境汚染物質あるいは薬剤の安全性評価において,コンピュータシミュレーションは必要ではあるが,数学やプログラミングなど余分な知識が必要なため,一部の専門家に限られおり,それほど一般化していない。そこで多くの人が活用できるように,生理学的デ-タ及び投与条件を入力するのみで,薬物の体内分布を予測し,グラフ化する薬物動態予測プログラム(PPP)を開発してきた。PPPは,Microsoft Windows上で働き,微分方程式やプログラミングの知識を必要とすることなく,各組織の濃度遷移曲線を容易に求めることができる。環境汚染物質または薬剤の中には,生体内で代謝により毒性が強化されたり,活性が発現する場合がある。今回は,複雑な経路で生成されるこれら代謝物(A→B→C・・・)の組織濃度推移を生理学的薬物動態モデル (PBPK Model)により解析するプログラムの開発を試みた。その結果,後半の代謝物になる従い,代謝物の組織濃度の最大になる時間が遅れる事が観察された。この結果は,代謝物が毒性のある場合は,毒性発現の時間的ずれに注意する必要があることを示している。この他,動物実験から人への外挿,動物実験計画,各個人の薬物投与計画など,各方面でPPPプログラムが活用されることを期待している。

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2001 Chem-Bio Informatics Society
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