抄録
現在までに4種類のヒト・ノイラミニダーゼ (hNEUs1–4)が知られているが、それらの中でhNEU1はシアリドーシス (リソソーム性シアリダーゼ欠損症)の標的酵素として精力的に研究されている。そのためhNEU1の生化学的機能に関する分子・電子レベルでの詳細な理解が望まれているが、hNEU1のX線結晶構造解析結果は未だ報告されていない。そこで本研究ではhNEU1の立体構造をホモロジーモデリングにより構築し、その構造に基づき、我々が提案しているLERE-QSAR (代表エネルギー項による自由エネルギーの線形表現法による3次元定量的構造活性相関)解析を用いてホモロジーモデリングにより得られた立体構造の妥当性の検証を行った。結果、hNEU1等と抗インフルエンザ剤タミフルやリレンザを含むシアル酸アナログとの実測の結合活性を統一的に説明できることを確認した。得られたhNEU1の予測構造は今後のシアリドーシスの基礎・応用研究に有用であることが期待される。なお、本論文は2011年CBI/JSBi年会 (CBI学会・JSBi合同大会)でのCBI Award for the excellent posterに選ばれた発表からの発展研究である。