抄録
スーパーファミリーを構成する核内受容体は、リガンドの結合によって活性化される転写因子として機能する。この受容体に属するひとつのクラスはステロイド/甲状腺ホルモンとレチノイドが結合するホルモン受容体であり、もう一つはリガンドが知られていないオーファン受容体である。最近いくつかのオーファン受容体に対するリガンドが発見され、それらの受容体が脂質のセンサーとして機能し、それゆえにSyndrome Xと呼ばれている一群の代謝障害と関係していることが明らかになってきた。Syndrome Xは、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化などを含むいわゆる生活習慣病に関係している。オーファン受容体は外因性および内因性の化合物を代謝する酵素や、運搬するTransporterを転写制御することで、防衛的な機能も担っている。一方で、核内受容体やSyndrome Xは、計算化学とBioinformaticsに関わる幅広い問題を提供している。例えば、受容体のモデリング、リガンドと受容体の結合、DNAと受容体ダイマーとの相互作用、標的遺伝子の同定、cis調節エレメントの同定、生成物であるタンパク質、それらが形作る経路網、さらに、膵β細胞、脂肪細胞、インシュリン信号、肥満のモデリングとシミュレーションなどである。この論文では核内受容体とSyndrome X研究の現状を計算化学とBioinformaticsの観点から概説し、もし成功したらゲノム時代の計算化学とBioinformaticsのKiller Applicationになるような研究プロジェクト、NR-SX計画を提案する。