抄録
タンパク質中のコイルドコイル領域の高精度予測における問題の1つが、7残基周期の欠失した領域、いわゆるheptad breaksと呼ばれる領域の予測である。Heptad breaksは非常に多くのコイルドコイル領域において観察される現象にも関わらず、予測が困難で、既存のコイルドコイル領域予測システムにおける誤差の原因となっており、構造上の特徴、機能など未知な点も多い。本研究では、特に以下の3点に焦点を当てheptad breaksを含むコイルドコイル領域の解析を行った。(1)heptad breaksを含む領域に対しての、適切なレジスターの予測。(2)アミノ酸の物理的性質を用いたコイルドコイル領域の予測。(3)heptad breaksのタイプによる構造上の特徴の分類。Heptad breaks領域を含むコイルドコイル領域の予測のために、本研究では、以下の2段階から成り立つ新しい手法を開発した。第1段階では、32種類のテンプレートを用いることで、7残基の周期の欠失した部位をも含む領域に対して適切なレジスターの割り当てを行う。続く第2段階では、10種類のパラメータ(3種類のアミノ酸の物理的性質と、7種類のアミノ酸の含有量)を用いた主成分分析によりコイルドコイル領域の判別を行う。本手法を実装したSOSUIcoilは、既存の他の予測システムと比較して優れた精度を示し、また、heptad breaksの詳細な部位情報を提供する。Heptad breaksの構造上の特徴を解析した結果、コイルドコイル領域の端に見られるタイプと、ヘリックス中央部に分布するタイプに分類することができた。