Chem-Bio Informatics Journal
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アフラトキシンB1がMAPキナーゼPTC1変異株に及ぼす遺伝子発現変化の解析
鈴木 忠宏岩橋 由美子
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2009 年 9 巻 p. 94-107

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抄録

アフラトキシンB1Aspergillus flavusが生成する二次代謝産物であり、人畜に対して発癌性を含む強い毒性を示す。そのメカニズムには未解明の点も多く、更なる調査が求められている。本研究ではアフラトキシンB1の毒性をより明らかにする為に、酵母S. cerevisiaeを利用した発現解析を試みた。酵母のSer/Thr phosphatase 2C変異株ptc1Δを用い、細胞膜や細胞壁の耐毒性を弱める為に低濃度のSDSを添加した培地でアフラトキシンB1を曝露した。マイクロアレイの結果はDNA合成の阻害、修復遺伝子の誘導、スフィンゴ脂質代謝及び細胞壁合成遺伝子群の発現異常、糖新生の誘導を示した。これらの結果は、スフィンゴ脂質の代謝異常が細胞周期の調整に必要なシグナル放出及び糖新生経路への炭素源供給に異常を引き起こし、細胞増殖や細胞壁の構築が抑制されることで細胞外のストレスに対する耐性が落ちていくことを示唆した。

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2009 Chem-Bio Informatics Society
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