地域地理研究
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北・東フランスと南・西フランスの間の経済的不均衡の是正とブルターニュの産業発展
石原 照敏
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2026 年 29 巻 1 号 p. 1-20

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抄録
本稿では北・東フランスと南・西フランスの間の経済的不均衡是正と、それに寄与した地域圏の一つ、ブルターニュの産業発展について考察する。フランスにはパリ地域とその他の地域の間の経済的不均衡および北・東フランスと南・西フランスの間の経済的不均衡が存在していた。2020年代においても、イル・ド・フランス地域圏とその他の地域圏の間の経済的不均衡は存在している。しかし、北・東フランスと南・西フランスの間の経済的不均衡の状況は変化した。1980年代の経済停滞以降、住民1人当たりの圏内総生産が伝統的な工業地域(北西部・北東部)では著しく下がったことをロシュフォール(Rochefort、1991)は明らかにしたが、その後、北・東フランスと南・西フランスの間の経済的不均衡の動向については明らかにされていなかった。そこで、本稿ではとくに1990年代以降、観光業を含む商業サービス業が発展した南・西フランスで住民1人当たりの圏内総生産が増大したため、北・東フランスと南・西フランスの間の経済的不均衡が是正されたことを明らかにした。さらに本稿では、観光業は景気や気候の変動に影響を受けやすいので、今後、北・東フランスと南・西フランスの間で均衡のとれた、持続可能な経済発展のためには南・西フランスにおいては工業発展が必要であり、その可能性があるという将来方向を提示した。あわせて、ブルターニュでは従来の工業や地方分散化された工業に加えて、地域資源(広い農地、豊かな海洋)を基に、生産物に付加価値をつける経営手法とコストが抑えられる海上輸出により、農漁業・食品加工業が発展し、観光業もまた地域資源(海岸・海洋)を活用して発展したため、住民1人当たり圏内総生産が増大し、北・東フランスと南・西フランスの間の経済的不均衡是正に寄与したことを明らかにした。
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