循環制御
Print ISSN : 0389-1844
症例
破裂性腹部大動脈瘤を合併したStanford A型急性大動脈解離の同時手術例の経験
垣 伸明入江 嘉仁佐藤 康広秦 一剋吉田 浩紹権 重好齋藤 政仁汐口 壮一岡田 修一長 磨美子今関 隆雄
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 26 巻 1 号 p. 50-53

詳細
抄録
Stanford A型急性大動脈解離(A型急性解離)に破裂性腹部大動脈瘤を合併した症例の緊急の一期的同時手術を経験した.症例は75歳男性で,A型急性解離を発症したが放置,2日後に腹部大動脈瘤が破裂し,ショック症状に陥り当院入院となった.来院時には,両側足趾に壊死も認めた.手術は超低体温循環停止下に上行大動脈と腹部大動脈を同時に置換した.体外循環からの離脱や止血は共に良好で,集中治療室に帰室した.第1病日には右下腿の壊死が進行し,切断した.第2病日には左下腿の壊死が進行し,切断を考慮したが家族の承諾が得られず,多臓器不全より死亡した.緊急の重複大動脈手術に対する手術戦略上の問題や過大侵襲に伴う周術期の合併症対策(特に虚血肢対策)などの問題があり報告する.
著者関連情報
© 2005 日本循環制御医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top