抄録
本研究では,心筋梗塞によるリモデリング心が虚血・再灌流傷害を受けた際の脆弱性と NCX 発現動態との連関の解明を目的とした.雄の成体ラットにおける心筋梗塞由来リモデリング心を摘出して灌流心を作製し,虚血・再灌流傷害負荷を与えた結果,対照心と比較して有意な NCX1 発現量の増加および Caspase-3 活性と Calpain 活性の増加が確認された.このことは,心筋梗塞による心室リモデリング時に NCX 発現量が増加したため,その後の虚血・再灌流傷害時に NCX 機能逆転による細胞内 Ca2+濃度上昇が促進され,その結果アポトーシスの誘導が促進された可能性を示唆している.