抄録
敗血症性ショックには血管収縮薬の使用が必須であるが、心血管特性に与える影響については十分理解されておらず、臨床の循環管理を最適化するためにはさらなる定量的情報が必要である。本研究では、犬リポポリサッカライド(LPS)誘発性ショックモデルにおける血管収縮薬の作用について、循環平衡理論を応用した心血管要素解析を用い定量的に検討した。LPSにてショックを誘導したビーグル犬(N=6)にノルアドレナリン(NA)とバソプレシン(AVP)を投与し、血行動態を解析した。LPS投与では、有効循環血液量低下が主体となる低血圧が誘発された。NA、AVPともに血管抵抗上昇を認めたが、NAでは有効循環血液量と心機能の上昇も認めた。心血管要素解析は病態や薬効の定量的な評価を可能とし、治療最適化につながる。