抄録
神奈川県立大師高校の水田耕作体験を通じた環境教育を事例に、その意義と要因について調査·考察した。中心的に関わってきた教員へのヒアリングおよび討議から、プログラムを通じて通年で谷戸を訪れることで生徒に形成される「風土景観の心理的残像」や、保全活動への情熱を持ったメンバーとの作業体験の共有という「他者との協働」の重要性が指摘された。また、この「風土景観の心理的残像」と「他者との協働」が、特に都市域に残る谷戸の水田耕作体験相において相補的に作用しながら環境教育上の成果を上げている構造的側面が得られた。高校生の環境教育の場としての視点からも、都市域に残る水田の保全が重要であることが示唆された。