環境情報科学論文集
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研究論文
  • 横関 隆登
    p. 1-8
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,行政と国民の双方の観点から文化景観概念を活用した国立公園政策の形成に資する基盤的議論を展開することを目的とした。行政的視点からは,環境省自然環境局長通知に規定された「文化景観」概念が,行政文書主導で形成され,定量的側面の明確化により重要性を高めていることを示した。国民的視点からは,既往研究が示す観光ガイドブックおよびその読者層の認識との間に一定の整合が認められ,「文化景観」の具体的な要素が意味ある形で理解され得ることを示唆している。「文化景観」概念は,歴史的に行政主導で形成されてきたが,今回の調査結果は,それが国民との意思疎通の基盤としても機能し得ることを示唆している。
  • ロイ キンシュック, 長坂 貞郎, 笹田 勝寛, 山嵜 高洋
    p. 9-16
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、日本の温帯農業地域における水質改善を目的として、ベチバー(Chrysopogon zizanioides)を用いた浮遊型処理システム(ベチバーFTS)の有効性を評価した。処理対象として、天然表流水(湖沼・河川)、人工富栄養水、家畜排水の3種類の水を用い、総窒素(TN)、総リン(TP)、化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質(SS)、無機イオンなどの水質指標を経時的に測定した。ベチバーは、すべての種類の水においてTN(最大60%)およびSSの除去を安定的に達成した。TPは栄養塩の高い水(人工富栄養水・家畜排水)で最大48%低下したが、天然水ではわずかに増加した。CODは家畜排水のみで低下した。また、すべての種類の水で栄養塩の吸収は4~7日以内に迅速に起こり、根の発達は安定していた。統計解析により、高栄養条件下でのTNおよびTPの有意な減少が確認された。これらの結果は、ベチバーFTSが窒素および浮遊物質の除去に安定的な効果を示す一方で、リンやCODを部分的に低減することを示しており、温帯地域の農業排水に対する費用効果が高く、低管理で運用可能な植物浄化技術としての可能性を示唆している。今後は、季節変動や根圏プロセスの評価が必要である。
  • 松本 安生, 松本 美紀
    p. 17-22
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は,気候変動による影響が懸念される東京湾沿岸地域を対象として,東京湾という場所への愛着と気候変動による被災への不安という感情的要因が,地域住民の気候変動の緩和策や適応策への取り組みに与える影響を,アンケート調査をもとに明らかにすることである。このため,東京湾沿岸地域に住む18~69歳までの成人男女を対象としたインターネット調査を実施し,合計864 名から回答を得た。分析の結果,場所への愛着が高いほど,また,被災への不安のなかでも災害が起きた状態を想定して抱く状態不安が高いほど,気候変動への対策行動を行っていることが明らかになった。ただし,その影響の大きさは限定的であった。
  • 山﨑 慶太, 平野 勇二郎, 横田 樹広, 高口 洋人
    p. 23-29
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    森林資源を利用した地域循環システム(LCS)の出口設計として,小型木質バイオマス熱電供給(CHP)の熱供給とマッチングする熱需要について,熱需要エクセルギー(Ex)を求め,投入された木質燃料化学ExからEx利用率を用いて評価した。1年間のCHP発電量,総合熱供給量と,温泉施設へのCHP熱供給量,灯油ボイラー熱供給量,入浴者数,外気温を実測した結果,電力の接続制限と夜間CHP熱未利用,営業時間前立ち上げ時の高い加熱負荷で,CHP熱利用率と化石燃料削減率が低くなった。夜間にもCHP熱を利用して浴槽を温水貯蔵として活用し,立ち上げ時の化石燃料を削減し,Ex利用率を高めることができた。
  • 有賀 健高, 林 雨欣
    p. 30-33
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,日本取引所グループのESG債情報プラットフォームに掲載されたESG債を対象に,利率が,格付け,償還期限,発行額,発行機関の業種,債券の種類から受ける影響を回帰分析により計量的に検証した。その結果,格付けが高いほど利率は低く,償還期限が長いほど高くなる傾向が確認された。発行規模が大きい債券は利率が低い傾向があり,自治体や金融関連業などによる発行は平均より利率が低い一方,電気・ガス業は高い傾向が見られた。また,グリーンボンド及びサステナビリティボンドは,その他のESG債と比べ,利回りが低めである傾向が観察された。
  • 對馬 孝治, 阿部 葵
    p. 34-39
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    地下水汚染が生じていた東京都あきる野市内の秋留台地南部の湧水において,NO3-濃度が減少していた期間で断続的に継続した観測結果から,人為的な窒素負荷の影響の変化を解析した。本研究では1994年から2020年まで断続的に年間で4回から13回の採水調査の実測値を用いた。Cl-濃度は1994年から2020年までで,NO3-濃度は2000年度から2020年度までで,それぞれ有意な減少傾向を示し,それぞれがあきる野市の下水道未普及人口の減少と同調していた。生活雑排水由来の影響が無いと評価できるCl-濃度の51µmol/L,NO3-濃度の159µmol/L,NO3-のδ15Nの4.4‰が得られ,生活雑排水由来のδ15Nとしては9.4±1.4(平均±標準偏差)‰であった。
  • 佐々木 章晴
    p. 40-45
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    農耕地には農業生産性増大のため窒素施用が行われる。一方,窒素施用量の増大によって見かけの余剰窒素が増加する可能性が指摘されている。そこで,北海道東部根室地方の草地酪農地帯における,市販配合肥料などを由来とする草地への窒素施用量が見かけの余剰窒素量および草地生態系へ与える影響について検討した。草地への窒素施用量の増大によって,見かけの余剰窒素は増加する傾向が見られた。窒素施用量15kg/10aの時,見かけの余剰窒素量は,チモシー(Phleum pratense)で5.4kg/10a,シバムギ(Elymus repens)で7.0kg/10aであり,草種間差異がある可能性が示唆された。また,窒素施用量の増大によって,牧草体のC/N比が低下する傾向が見られた。窒素施用量や草地の主要草種によって,自然環境への窒素負荷が変化する可能性が示唆された。
  • 大石 卓史
    p. 46-51
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,大学関係者が関与するCSAに対する大学生の評価や支払意思額に関する分析を行った。その結果,CSAの認知や経験は低い水準にとどまったものの,大学関係者が関与するCSAに対して前向きな評価をした回答者が多数を占めた。CVMの分析からは,居住地や通学頻度,農業への関心,CSAの具体的な活動内容等が大学関係者が関与するCSAに対する支払行動を特徴付ける結果が得られ,また,支払意思額の推定結果は我が国で行われているCSAの価格設定と同程度の水準となった。これらの結果は,大学・地域連携へのCSAの導入可能性を示唆するものといえる。
  • 田中 初
    p. 52-58
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    わが国の中山間地域では高齢化・過疎化に伴い,地域コミュニティが弱体化している。同時に,情報技術の進歩に伴い,同期的なオフラインコミュニケーションに加えて,非同期的なオンラインコミュニケーションやオンライン上でのグループ形成も可能となった。本研究では,中山間地域のなかでも,外的支援によるICT(Information and Communication Technology)導入が行われていない集落を対象とし,地域住民同士でのオンライングループの活用状況を調査した。結果,地域組織に所属する住民を中心にオンライングループの活用が確認された。また,地域住民間のオンラインコミュニケーション頻度の向上にオンライングループへの所属が直接つながっていない点も併せて明らかにした。
  • 木村 有希, 徳村 実央子, 北野 慎一
    p. 59-64
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    農地の集積は土地利用の非効率を解消し,生産性を向上させるための重要な政策課題となっている。わが国では制度改正や規制緩和を通じて,市場を基軸とした農地集積の促進を長年にわたり図ってきた。しかし,市場取引のみに委ねた農地の集積・集約の実現には限界があり,制度的な支援の重要性が増している。2012年から実施されている人・農地プランは,市町村(政府)が集落に自主的な計画を促し,大規模経営への農地の流動化を進める政策である。本論文では,人・農地プランの農地集積効果について,内生性を考慮した操作変数回帰によって検証を行った。結果,人・農地プランには担い手への農地集積効果があることが明らかとなった。
  • CO₂濃度の実測データを活用した環境評価指標に基づく検証
    プリ バヌバクタ, 岡村 聖, 伊藤 雅一
    p. 65-70
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,風速3m/s以上のときに観測されるCO₂濃度を「CO₂基準濃度」と定義したうえで,東海3県に開設されたCO₂濃度測定局の実測データを活用して環境評価指標を作成し,これに基づいてCO₂濃度と地域環境との関係性を検証した。その結果,1)夏季は,CO₂濃度に与える自然的土地利用影響の度合いとその時系列変化が定量的に評価できること,2)冬季は,都市的土地利用の影響に加え,気象条件やCO₂の広域輸送を含めた包括的な検証が必要であることを明らかにした。
  • 村上 健太郎, 今野 紘希, 平 泰成, 池田 瞬也, 吉田 創
    p. 71-76
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,北海道松前町の海岸沿い道路に形成される路面間隙において,海崖植物が生育し得る条件を検討した。58地点の植生調査と環境要因の計測,GLM解析の結果,海崖植物の成立には海崖からの距離(DC)と汀線からの距離(DS)が最も強く影響し,とくにDSの影響は顕著であった。一方,路面間隙が海岸に近い場合には,海崖から一定距離離れた地点でも海崖植物が成立することが示された。pHやEC,間隙幅・間隙深などの各要因も種により影響がみられた。以上より,路面間隙は海崖植物の代替的生育地として機能し得ることが明らかとなり,沿岸道路における保全的利用の可能性が示唆された。
  • 市民意識調査より
    上山 肇
    p. 77-82
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年、私たちの住む地域社会では、少子高齢化に伴う人口減少に伴い、あらゆるところで人材不足がさけばれている。こうした社会問題を考える時に、その対応手段として、人に代わる新たな技術の活用を考える必要があり、ロボット活用もその一つと考えられる。本報ではそうした点に着目し、市民がロボットについてどのように認識しているかについて探っている。その結果、人々がいろいろな場面で受付や清掃、配膳等のロボットに接するようになっているものの、実態としてはまだ市民には十分浸透していないことがわかった。今後、人とロボットとが共存する社会を目指す上で、市民サービスと連携したロボットのあり方について考えていく必要性がある。
  • 糸井 風音, 甲斐田 直子, Azrina Sobian, Norhayati Abdullah
    p. 83-89
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,マレーシアの消費者を対象に信仰と文化にもとづく環境観とプラスチック汚染緩和行動の関係性を検証した。オンライン質問紙調査データ(N = 1,093)を用いた因子分析の結果,信仰・文化と環境保全等との関連性認識項目から「信仰的環境観」「文化的環境観」の2因子が抽出された。これらを外生変数として,計画的行動理論にもとづいた共分散構造分析の結果,信仰的環境観は深刻度認知・知識・行動への態度を介して,文化的環境観は態度・主観的規範・行動統制感を介して,プラ汚染緩和行動に正に関係していた。個人の信仰や文化と環境保全との関連性に関する意識を強化することによって,プラ汚染緩和行動が促進されることが示唆された。
  • 高橋 正弘
    p. 90-96
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,北海道札幌市に居住する住民を対象に実施したWEB調査の結果から,ヒグマをめぐる行政による計画に対して住民がどのような認識を持ち,またどのようなヒグマ対策が有効であると考えているかを把握するとともに,環境教育の視点からヒグマに関しどのような環境教育の方法・内容・対象が住民に求められているかについて分析を行ったものである。調査の結果,回答した札幌市の住民はヒグマに対して親近感よりも恐怖感を有しており,行政がヒグマの責任主体になるべきと考えていることが明らかになった。また環境教育の実施状況は不十分であり,危険な生物としてのヒグマへの対処に係る知識や技術に係る情報を求めていることが明らかになった。
  • 山根 直葵, 石黒 平, 橋本 禅
    p. 97-102
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,生態系サービスを考慮した都市計画のため,名古屋市を対象に景観パターンが雨水貯留およびレクリエーションサービスに与える影響を分析した。2020年の土地利用データとInVESTモデルにより各サービスの供給量を評価し,景観パターンの指標群を説明変数とする空間エラーモデルによる分析を行った。その結果,雨水貯留は樹林地や水域の面積などの景観構成要素に依存し,景観配置の影響は限定的である一方で,レクリエーションは景観構成と景観配置が同等に重要であることが示された。景観構成を捉える接続性指標は両サービスに負の影響を与え,景観の接続性は必ずしもサービス向上に繋がらないことが示唆された。
  • 黒川 裕也, 堀江 亮祐, 北野 慎一
    p. 103-108
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    「みどりの食料システム戦略」は,有機農業の面的拡大を重要な政策目標に掲げている。しかし,有機農業への転換は労働生産性の低下を伴うとされ,特に大規模経営体は導入をためらう可能性がある。本稿では,兵庫県但馬地域を対象に,経営規模と有機農業の取組水準との関係をTobitモデルにより分析した。その結果,一定の規模を超えると有機農業の取組水準が低下する傾向が確認された。また,「環境保全型農業直接支払交付金」は,有機農業の実施を促進し,大規模経営体の有機農業への転換を可能にする調整効果を持つことが示唆された。したがって,有機農業の面的拡大の実現には,大規模経営体の導入を促す制度的支援が求められる。
  • 小金井公園におけるPPGIS調査
    吉田 知樹, 石黒 平, 橋本 禅
    p. 109-114
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    近年では,文化的生態系サービス(以下,文化的サービス)の観点から都市公園の多機能性に関する分析が行われているが,その種類ごとの空間分布の違いや季節的な変化は明らかにされていない。本研究では,小金井公園において,季節ごとに約100人の公園利用者を対象とした市民参加型GIS調査を行い,6つの文化的サービスのホットスポットの空間分布,およびその季節変化を分析した。その結果,文化的サービスの種類ごとに公園内での空間分布は異なり,また季節的に変化した。特に,多様な利用が可能な広場は季節によらず様々なサービスについて評価された一方で,季節により花が見られる場所は開花時期にのみ多様な文化的サービスが評価された。また,生物多様性保全地域である雑木林は,他の場所では得られにくい教育的価値が通年で高く評価された。本研究の知見は,多目的な広場に加え,開花時期を分散させた植栽計画,生物多様性保全と普及啓発により,都市公園において通年で多様な文化的サービスを供給できる可能性を示唆している。
  • 性格特性と属性・経験等の検討
    高山 範理, 田中 亘, 鄭 芯蕊, 笹田 敬太郎, 都築 伸行
    p. 115-120
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    林業の安全管理向上を目的に、伐倒作業での安全マニュアル遵守傾向と作業者の性格特性・個人属性の関係を分析した。全国の林業従事者1,034名にアンケートを行い、Big Five尺度と各属性のデータを収集した。重回帰・ロジスティック回帰の結果、勤勉性・協調性・神経症傾向がマニュアル参照・遵守行動と有意に関連した。さらに就業形態や伐倒経験年数などの属性・経験も影響した。これらより、性格・属性・経験に応じた安全教育・指導の設計が、合理的な安全管理体制の構築に寄与しうると示唆された。
  • 髙木 健太郎, 錦澤 滋雄, 長澤 康弘, 村山 武彦
    p. 121-126
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    風力発電事業の一定地域への集中による累積的影響が懸念されている。本研究では,陸上風力発電事業における累積的影響に関する住民意見の提出状況と意見内容を分析した。第1に,累積的影響に関する住民の懸念が既に多くの事業において提出されていることが明らかになった。第2に,景観については提案事業と稼働中事業が組み合わさることによる影響を懸念する意見が多く出されており,その半数で事業への反対が示されていた。第3に,提案事業と他の計画中事業との影響評価が実施されないことに対する懸念が多く示されており,計画中事業を考慮した累積的影響への対応が重要であることが示唆された。
  • ナラントゥヤ バツク, ソドノムダルジャー デルゲルジャルガル, 中村 洋
    p. 127-133
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    モンゴル国においてサクサウール林は砂漠化対処に極めて重要な役割を果たし,家畜の飼料や薪としても利用されている。牧民はサクサウール林の再生において重要な役割を担っていることから,モンゴル国バヤンホンゴル県ボグド郡において321人の牧民に調査を実施し,広瀬モデルに基づき,サクサウール林の再生に向けた牧民の参加行動を分析した。分析結果から,牧民のサクサウール林の再生活動への参加を促進するためには,主観的規範と個人的規範の向上,再生活動の利益と課題に関する認識の変容,そして牧民を巻き込むための政策が重要であることが明らかになった。
  • 林 優輝, 長谷川 正利, 白川 博章, 谷川 寛樹
    p. 134-139
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    都市に賦存する資源を把握することは,循環経済を実現するために不可欠である。本研究では,建築物ストック推計で未だ十分考慮されていない「内装材・家財」に焦点を当て,原単位の作成を行い,リサイクル材の蓄積場所と量を明らかにすることを目的とする。内装材・家財原単位を推計し,既存研究で整備された構造材原単位と比較した結果,木造2×4工法における構造材の3%~4%に相当する量が住宅内に内装材・家財として蓄積されていると推計できた。
  • 令和元年台風第19号における栃木県宇都宮市を事例として
    坪井 塑太郎
    p. 140-145
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,令和元年台風第19号(2019年)により被災した栃木県宇都宮市の被災者支援の実態を参与観察と災害時支援型調査により分析し,災害ボランティアセンターを設置・運営する「社会福祉協議会」とNPO等を含む「市民社会組織」による取組みの成果と課題の検討を行った。同災害に対しては双方において宇都宮市域の人的資源が活用され,平時からの関係構築や情報共有の重要性が示された一方,ボランティア人材の裾野の拡大や,活動拠点の事前確保において課題がみられた。発災から3年後の2022年より,社会福祉協議会を中心に災害対応技術の継承と関係者のネットワーク構築を目的とした実働型訓練の実施による取組みも進められている。
  • 矢作 岳, 加藤 顕, 加藤 友規, 三谷 徹
    p. 146-149
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,日本庭園植栽の動的な空間特性である枝葉の「ゆらぎ」に着目し,三次元点群データを活用して園路上における鑑賞者視点の知覚量を記譜する手法を提案した。京都の渉成園丹楓渓を対象に,園路上に生成した「虚空間セル」から「ゆらぎ」までの距離をもとに遠近感を考慮した計算により「ゆらぎ知覚量」を可視化した。これにより,鑑賞者視点の空間特性を三次元空間に定量的に記譜可能とし,「ゆらぎ知覚量」の三次元分布とシークエンスの特徴を確認できた。本手法は,これまで研究対象とされることが少なかった植栽空間構成の形式知化に資する資料となり,歴史的庭園の保存・継承への応用が期待される。
  • 平山 奈央子, 久世 匠朗, 村上 一真
    p. 150-155
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    外来種対策では一般市民の支持や協力が重要である。本研究は琵琶湖の外来魚問題に関する認識および外来魚駆除に対する支持の程度に影響を与える要因を明らかにすることを目的として滋賀県居住者を対象とする質問票調査を実施した。その結果,外来魚による被害の認知度は48.0%と比較的高く,67.5%が琵琶湖の外来魚駆除を「強く支持する」もしくは「支持する」と回答した。また,支持の度合いに影響を与える要因を共分散構造分析によって検証したところ,琵琶湖保全に関する滋賀県への信頼度が高い,経済成長や科学技術の発展を重視している,動植物の命を尊重しているほど外来魚駆除に対する支持の程度が高いことが明らかとなった。
  • 後藤 忍, 角掛 愛美
    p. 156-161
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    福島県における出力1MW以上の太陽光発電を対象とし,その建設に伴う植生改変に着目して,地理情報システム(GIS)を用いて航空写真と植生図を分析した。その結果,次のような点が明らかになった。1)農耕地,二次林,背丈の低い二次草原の面積が大きく,これら3つで全体の74.8%を占めた。2)原子力被災11市町村では,農耕地の改変面積の割合が76.3%と高かった。3)太陽光発電施設の建設の規制に関する条例を施行していた7市町村では,条例無しの市町村に比べて農耕地を中心とする人為的な植生改変面積の割合が高かった。
  • 迪 程
    p. 162-168
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    福島第一原子力発電所事故以降、原子力発電所(NPP)に対する社会的支持は低下した。持続可能な開発目標7(SDG7)の達成に向けて、NPP建設に対する社会的支持をいかに高めるかが重要な課題である。本研究はリスクコミュニケーション理論に基づき、中国において1,000件のオンライン調査データを収集し、構造方程式モデリング(SEM)を用いて、双方向的リスクコミュニケーション、信頼、リスク認知、政策支持、抵抗行動傾向の相互関係を分析した。その結果、(a) 双方向的リスクコミュニケーションはNPPの管理者や政策決定者への信頼を高め、原子力政策支持を促進する、(b) 信頼は支持を高めると同時にリスク認知を低減させる、(c) リスク認知と抵抗行動傾向は支持を弱める、(d) 自己効力感が低い場合にはリスク認知が抵抗行動を抑制する、ことが示された。本研究は、双方向的リスクコミュニケーションの推進に向けた実証的知見を提供する。
  • Weiyi LIN
    p. 169-175
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は、地域に根ざした政策対話において、参加者の「セルフ・オーサーシップ」が関与に与える影響を検討する。セルフ・オーサーシップとは、対話に貢献する正当性や能力、責任を自らに認める内的認識を指す。福島県で実施された「1F地域塾」第11回セッションの参加者51名を対象に質問紙調査を行い、発言、共感、学び、熟考の4指標で関与を測定した。分析の結果、自己主体感は共感や熟考といった内面的な関与と有意に関連していたが、知識獲得とは無関係であった。また、再参加の意欲は自己主体感よりも権力非対称性との関連が示された。これにより、対話設計においては構造的条件だけでなく、内面的な認識も重視すべきであることが示唆される。
  • 真宗大谷派名古屋別院を事例として
    山本 明里, 大野 暁彦
    p. 176-181
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    名古屋市の真宗大谷派名古屋別院で開催される3つのマーケット「暮らしの朝市」「一如さん」「音食Market」を対象に,運営体制と空間構成の調査を行い,同一境内地内での複数マーケ ット開催による多面的利用の実態を明らかにする。その結果,マーケットごとに空間の露店配置や滞留空間の設え,出店ブース内の什器配置などが異なることがわかり,境内の回遊性・滞留性など利用者の行動に影響を与えていることが示唆された。新しいマーケットの参加により,境内全体を使った回遊的な利用が促す空間構成となり,境内空間の利用領域に広がりが確認できた。新しいマーケットでは,出店サイズのルールや配置の指定といった運営者による細かな調整があり,回遊や滞留といった行動を誘発する構成が意図的に設けられていた。
  • 大場 真, 中村 省吾
    p. 182-187
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    レーザー計測や無人機による空撮によって森林の構造を把握することが容易になった。地上からレーザー計測した森林点群によって,樹木位置や直径を自動的に測定することを目的として,樹幹判別器を開発した。調査地は福島県内人工林と宮城県内里山林である。PointNet++を判別器として,教師データによる樹幹の機械学習を様々な条件で行った後に,教師データおよび,それ以外の検証データの樹幹判別率を求めた。人工林では有効な精度を持ったが,里山林では判別率,汎化性能が良くないものの,樹木位置や直径どの情報を自動的に得るには十分な性能であった。
  • 斎藤 達也
    p. 188-195
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    北海道駒ケ岳の火山荒原において,登山道上およびその周辺の群落と立地環境の特性を調査した。登山道上では,登山道外と比べて裸地や侵食痕が広がり,維管束植物,蘚類,地衣類の植被は疎らで,維管束植物の種数も少なかった。地衣類の植被は登山道から離れるほど高く,蘚類は登山道脇で最も密であった。外来種や低地生雑草は登山道近傍に偏って分布し,一部の在来種は距離区間ごとに特徴的な出現を示した。以上より,登山道は火山荒原上の植物分布と群落構造を改変するが,その影響は距離とともに変化することが示唆された。登山道上での疎らな植被には,踏圧やそれに伴う地表面侵食の進行が関与している可能性がある。
  • 桒原 良樹, 辰己 賢一
    p. 196-201
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    中山間地域において,光環境がイネの収量に与える影響を調査することは,持続可能な農業を確立する上で重要である.本研究では,2017~2019年の3シーズンにわたり,新潟県十日町市にある異なる光環境を有する2圃場において,気温,光合成光量子束密度(PPFD),収量構成要素,収量の調査を実施した.その結果,低光量の圃場は,高光量の圃場と比較し,生育期間中の積算PPFDは80%程度となったが,収量に有意な差は得られなかった.このことは,低光量条件下での穂密度の減少が,1穂籾数および登熟率の増加によって相殺されたことが原因であることが示唆された.本研究の結果は,複雑地形下での収量の決定要因として,ソースとシンクのバランスが重要であることを示している.
  • 人材と財源を巡る課題解決の取り組みに着目して
    包 薩日娜, 田崎 智宏, 藤村 コノヱ
    p. 202-207
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,全国442の環境NPOの調査データを用い,人材・財源確保の課題解決を切り口に,団体の特徴と発展に必要な事項を団体側と社会側の両面から検討した。多くの団体が人材不足や財政脆弱性に直面し,小規模や高齢リーダーの団体では後継者問題が深刻であった。他方,順調な団体は予算規模が大きく,SDGs関連やネットワーク型活動を展開する傾向がみられた。回帰分析の結果,財政基盤や後継者の確保と制度整備や市民の自分事化はいずれも団体発展に必要とされるとともに,内部基盤と外部基盤を並行して強化・改善する重要性が示唆された。内部課題の重視は市民参加促進と必ずしも連動しないことから,両者を接続する仕組みが求められる。
  • 山関 一聖, 鄭 桐偉, 李 京, 小林 剛
    p. 208-213
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    土壌汚染対策法では,揮発性有機化合物13物質の土壌溶出量基準が設定されている。溶出量基準は,同じ基準超過状況でも,地下水汚染や浄化のしやすさが土壌や物質によって大きく異なると想定される。本研究では,基準を2倍超過した汚染土壌中での各汚染物質の相分配の状況を推算し,土壌の特性値や汚染物質の物性値から,地下水汚染ポテンシャルや浄化のしやすさについて考察しするとともに,基準の意味について考察することとした。同じ基準超過状況でも,吸着性の高い土壌では地下水汚染ポテンシャルは約2倍大きいことや,吸着性の低い土壌中でクロロエチレン等は90%以上が移動しやすい間隙気相や細孔外水相に分配すること等の知見を得た。
  • 世界文化遺産候補地阿蘇地域の大規模太陽光発電施設を事例に
    袁 星雅, 下田 一太
    p. 214-219
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は,阿蘇くじゅう国立公園周辺における大規模太陽光発電施設の開発に対して,地方自治体が策定した景観条例と景観計画が果たしている役割を明らかにしようとするものである。関連する行政資料と自治体担当者へのヒアリング調査を通じて,制度の運用実態と課題を検討した。その結果,届出基準の工夫や自治体間の連携によって一定の開発抑制効果が認められた一方,景観条例と景観計画の規制力の不足,届出対象行為の規模の不整合,景観形成地域の範囲設定の限界等,現行制度の構造的に脆弱な点も確認された。こうした制度的な課題を解消するために,自然公園法と各自治体の景観条例とのより一層の連携等による対策が期待されることを論じた。
  • 平山 睦, 法理 樹里, 佐藤 祐一, 横山 大希, 平山 奈央子
    p. 220-225
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    マイクロプラスチック(以下,MP)による生態系や人体への影響が懸念されている。本研究はMPのリスク認知構造を放射線のそれと比較することを目的とし,質問票調査から得られた400件の回答を用いて共分散構造分析を実施した。MPに関する分析の結果,多くの情報に接触している,もしくは,情報源を信頼しているほどMP問題への関心が高く,それらの人はMPに対するリスク認知が高い傾向にあることが明らかとなった。放射線については,その有用性と被害の制御困難さの認識がリスク認知に影響を与えていたが,関心からリスク認知への影響は確認されなかった。
  • 藤田 衛, 供田 豪, 森 龍太, 杉浦 伸, 森杉 雅史, 大野 栄治
    p. 226-232
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    日本では自動車産業が製造品出荷額の約20%を占める主力産業であり,年間20兆円規模の化石燃料の輸入とCO2排出を恒常化させている。2030年NDCの実現可能性を議論するには,乗用車の電動化,再生可能エネルギー発電シェアの拡大,化石燃料消費量の抑制などを,統一的な枠組みで把握する必要がある。本研究では,「IONGES 2030年想定表」を土台とし,車種別登録統計と発電シェアの実績値から延長推計を図り,新たに2015年~2030年表を再構築して,パリ協定NDCの遵守可能性を検討する。また,輸入に伴う経済波及効果の欠損分とCO2排出を国外へ転嫁できる分を結びつける指標を提案し,わが国の産業構造に適する今後の緩和策のあり方について考察を行う。
  • 宮本 将来, 山本 和清, 寺﨑 悠登
    p. 233-238
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,災害時における孤立化発生要因の抽出を目的とし,能登半島を対象として行ったアンケート・ヒアリング調査や現地踏査を通じて孤立化発生要因を分析した。その結果,多くの集落で「崖後土砂崩れ,津波や浸水の危険が確認された。また「国道・県道規模の道路が1本以下」や「集落内に山がある」などの適合率50%以上の孤立化発生要因を13項目抽出することができた。さらに,南海トラフ地震津波避難特別強化地域においても同様の孤立化発生要因をもつ集落が73集落存在することが把握でき,鉄道や道路の建設などの大規模な整備は国の財政的な問題もあることから,まずは集落内でのインフラ整備を進めることで孤立化発生の低減に寄与できるものと考えられる。
  • 阿部 健一, 木下 勇, 寺田 光成
    p. 239-246
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,暮らしを題材とした市民参加型の戯曲創作ワークショップが,高度情報消費社会における主体形成に寄与する可能性を明らかにした。東京都豊島区での実践における参加者の自由記述アンケートを対象に質的分析を行い,参加者の体験の特徴として9つのカテゴリを抽出した。それらを主体形成の観点から整理し,対話的コミュニケーションの創出と自己省察の促進という有用性を指摘した。また環境要素を言語化する手法としての有用性も示唆された。
  • 李 雅娟, 陶 真, 松本 亨
    p. 247-253
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    市民から排出される使用済み食用油を回収することで,バイオディーゼル燃料(BDF)やサステナブル航空燃料(SAF)として再利用することが可能である。本研究では,まず地理情報システム(GIS)を用いて,回収拠点の位置と人口分布を可視化し,拠点周辺人口と回収ポテンシャルを示した。次に,ライフサイクルアセスメント(LCA)手法を用いて,廃食用油の輸送過程,再生燃料への製造過程,および代替燃料としての利用過程におけるCO₂排出量を評価した。さらに,廃食用油の焼却処理および排水処理による環境負荷についても評価を行い,比較した。その結果,BDF化により年間約470t,SAF化により年間約416tのCO₂排出削減が可能であることを明らかした。
  • 前嶋 玲輝, 仲吉 信人
    p. 254-259
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化・都市温暖化による暑熱ストレスの低減として,サマータイム制度の導入がどの程度の効果をもたらすか検証を行った。AMeDASの観測データを用いて,気象庁が公開しているMSMのバイアス補正・空間内挿を行い,各地点のWBGTを算出した。サマータイムシナリオとして4つのシナリオを考え,各シナリオ,各活動時間における,平均WBGTと最大WBGTを算出することで,日本全域での暑熱ストレス低減効果について考察を行った。その結果,サマータイムは暑熱ストレスを平均的に低減させ,特に適切な暑熱回避を行うことでさらに暑熱ストレスを低減させることがわかった。
  • 宮崎 いつ歌, 柴田 裕希
    p. 260-265
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    都市における緑地の保全は1970年代から重視され,近年は衛星画像による把握が主流となっている.本研究では船橋市を対象に,NDVIと線形混合モデル(LCM)を用いた緑被率(GRLCM)を算出し,土地利用区分を基にして緑被率を評価する従来手法との精度比較を行った.加えて将来推計人口を用いて緑被率の変化を推定し,予測緑被率を評価した.その結果,従来手法に比べて本研究のGRLCMの方がより高い精度で緑被率を評価できることが分かった.将来予測では重回帰式による予測モデルを作成し,緑被率を推定するのに必要な変数の組み合わせを特定した.さらに, 2045年の緑地分布については,市街化区域で9.48%減少,調整区域で6.35%増加する潜在的な可能性が示された.
  • 今枝 侑香, 重田 祥範
    p. 266-271
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,京都府北部に位置する福知山市を中心に広域かつ多地点で気象観測を実施し,福知山盆地における霧発生日数の季節変化と発生時の気温変化ついて明らかにした。観測期間119日のうち,霧が発生したのは31日(26%)であり,発生頻度が最も高かったのは11月で,全体の50%を占めた。一方,霧の消散時刻は,日の出時刻とその後の日射量に強く依存し,冬至を迎える12月と春季の3月とでは,約3時間の差が生じていた。また,盆地底に位置する観測地点では,霧発生直後から気温上昇が確認され,非発生日における夜間の放射冷却による気温低下とは対照的であった。この現象は,霧の発生にともない夜間の放射冷却の抑制を意味しており,霧発生日のうち55%で出現した。
  • 重田 祥範, 大谷 一貴
    p. 272-277
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,猛暑期における鳥取県を対象として,沿岸部,都市部,山間部の複数地点において気温観測を実施した。観測の結果,好天静穏日には,いずれの地域においても沿岸部の気温が他地域よりも低い傾向を示した。さらに,日最高気温と海岸からの距離との相関分析をおこなったところ,有意な正の相関が認められ(最大 r = 0.80),沿岸域では海風の泠却効果によって日中の気温上昇が抑制されていることが明らかとなった。また,日最高気温と標高との相関分析においても有意な正の相関が確認され(最大 r = 0.70),内陸部は沿岸部よりも相対的に気温が高くなる傾向であった。以上のことから,猛暑期の鳥取県では,一般的な気温減率に従わない日が存在することが示された。一方で,フェーンが発現した日には,沿岸域が最も高温化する傾向も確認された。
  • 福島県川内村のハウスブドウ栽培をケーススタディとして
    大和田 興, 辻 岳史
    p. 278-283
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/01/30
    会議録・要旨集 フリー
    福島県は2011年に地震と原発事故に見舞われた。川内村は原発事故の影響により住民は全村避難を実施した。2012年の「帰村宣言」以降13年が経過した現在も復興の途上にある。その中で高齢農家は,自給的栽培の農業から再起をかけて農業を続けている。本論文で取り上げるハウスブドウ栽培は,1戸の農家が自家消費と趣味のために始めたブドウ栽培が,村の高齢農家に広がりを見せ今では特産品になろうとしている。結果として自給的栽培は,①農業経営のための試験的栽培,②震災による経営困難時に一時的な自給的栽培,③農環境など経営資源の維持,資源管理の役割,④「生きがい」維持,農業への関心を失わないために取り組まれている。
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